「何が良いと思う?」
望美は腕を組んで首を傾げると、譲の顔を覗き込む。
望美との距離に戸惑い頬を赤らめつつ、譲は困ったようにため息をついた。
「俺にそう訊かれても困りますよ」
「同じ男の人なら、何となくわかるかなって」
望美はえへっと悪戯気に笑みを浮かべると、大きなため息をついた。
「…だよねぇ」
「先生に直接訊いてみたら良いんじゃないですか?」
「私もそう思ったんだけど、何度訊いても…」
望美は再び大きなため息をつき、言葉を紡ぐ。
お前さえいれば、それで良い。
「…先生らしいですね」
苦笑を漏らす譲は、あえて本当の気持ちを声には出さない。
それは、「惚気」というものではないのだろうか と。
「う〜ん…どうしよう…」
またまた大きなため息を漏らし、望美は空を見上げた。
望美の息は白くて。
空からはちらちらと雪が舞っていた。
I wish…
「どうしよう…」
望美は大きなため息をつく。
クリスマス当日。
リビングで望美は一人暗い顔をしていた。
料理の準備も終え、後はリズヴァーンの帰りを待つだけなのだが。
結局、プレゼントを用意出来ないままでいたのだった。
「…神子?」
不意に声をかけられて驚いた望美は、思わず勢いよく立ち上がった。
「せ…先生っ! お…お帰りなさいっ」
にっこりと…だがどこかぎこちなく微笑む望美を不思議に思いつつ、
リズヴァーンはいつものように優しく微笑む。
「ただいま、神子。
…何かあったのか? 気が…随分と乱れている」
リズヴァーンは、心配そうに望美の頬にそっと手を当てる。
帰宅したばかりのリズヴァーンの手は冷たくて…だが、
温もりも伝わってきて、とても心地よい。
望美はうっとりとしながらリズヴァーンの手に己の手を重ね、
にっこりと微笑んだ。
「ううん…違うんです。あの…」
「…?」
「…ホントに、欲しいもの…ないんですか?」
どこか困ったような瞳で、リズヴァーンを見つめる。
「言ったはずだ。私は、お前がいれば十分なのだと…」
そっと、望美の身体を抱き締める。
「でも…私は、先生になにかプレゼントしたいんです」
いつも、先生にはいろんなものをもらってばかりだから。
少し頬を膨らませ、望美は目の前のその胸に顔を埋めた。
この世界に戻ってきてから、毎日がとても幸せで。
リズヴァーンのために夕食を作って、
仕事から帰ってきたリズヴァーンを笑顔で迎える。
『お帰りなさい』と言う望美に、リズヴァーンは『ただいま』と返す。
まるで新婚のようで、望美には嬉しい。
だが、リズヴァーンは ?
リズヴァーンは、「神子と共にいられれば良い…」と、
それしか望みを口に出さない。
お前しか欲しくない、と。
それは、望美にとっても嬉しい言葉なのだが、
もっともっと欲を出して欲しい…と、そう思うのだ。
「神子…」
子供をあやすような笑みを見せると、リズヴァーンは望美の頭を優しく撫ぜた。
「…お前がわかっていないだけなのだ。
私の方こそ、お前に与えてもらうばかりだということを…」
「私…何もしてませんよ?」
「お前が傍にいる。
それだけで、私にとっては十分に幸福なことなのだ。
お前がこうして毎日私の帰りを待ってくれているなど、夢を見ているのではないかと…」
「先生…」
「…この腕の中のお前は、いつか消えてしまうのではないかと…」
言の葉を紡げば紡ぐほどリズヴァーンが苦しそうで、
望美はその背に腕を回す。
「私は消えません。ちゃんと、ここにいます…」
「神子…」
「暖かい…ですよね? ちゃんと、生きてます…」
だから、もっともっとワガママになってください。
「それが、私のお願いです」
にっこりと微笑んだ望美は、リズヴァーンの頬に口付けた。
「…では、私からも一つ願いを口にしても良いだろうか?」
「はい! なんでも聞きますよ?」
嬉しそうに笑みを浮かべた望美の額に、
リズヴァーンは己の額をこつんとあてた。
すぐ目の前にあるリズヴァーンが、とても幸せそうな笑顔で。
望美は思わず頬を赤らめる。
お前の全てが欲しい。
リズヴァーンの腕に力がこもると、望美の唇に優しい口付けが降ってきた。
リズヴァーンのその腕が少し痛くて…でも、唇はとても優しくて、暖かくて。
望美は瞳を閉じ、その温もりを感じる。
愛おしいお前と過ごす幸福。
それは、かけがえのない…私の運命 。
なんちゃってv(台無し)
リズ先生、なぜか切な目になっちゃいました…(死)
甘くしようとしたのに…おかしいなぁ??
毎回こんなこと言ってますね(笑)そっか!発想力が乏し…い…凹
てか、クリスマスじゃねぇぇ!!
↑お気に召しましたら、ポチっとお願いしますv